■プログラム 1.「Theory of the earth」 〜三味線と弦楽オーケストラのための〜  When Ms. Nishigata asked me to write a work for her and his instrument, I had a strange reaction, I was exited because of the possibility of a new sound and "feeling" adventure whit Shamisen (that I've used sometimes in the past just as a sampled sound, very sad・ but - at the same time - I was afraid because it was my first contact with this instrument, so different,
so strongly connected to your tradition, but so familiar to me for some reason (maybe the cello? Maybe because I've studied Sitar years ago? Maybe because I'm curious as like as a child.

Ms. Nishigata - one day of last year in Tokyo - has played for me some great music and she gave me (it was a great help) a beautiful book of photos of Fuji by Toshinobu Takeuchi. I saw many picture - misterious,
mysthic, with different light, magic, drammatic and flowers, trees, but all as like as another dimension - and I had feeling of all strings around Shamisen.

Later I've started to think more on this piece (it was april) in a little voulcanic island near sicily, alone, with no people and storm outside. And storm inside me.

The title is Theory of the earth and it's inspired by a book written by the scottish geologist James Hutton (1726-1797). The book is about composition, dissolution, and restoration of land upon the globe. But on my
piece I've focused my attention on two Voulcanos; Fuji and Etna... and I've thought of many things: rituals, religions, people, stories, mithology,
etc. But then I decided to have a very abstract approx. I cannot describe a volcano with out thinking any connection with humans or animals or energy in positive or negative way, for that reason mouvements are with no title.
It is only apparently a nature phenomena descripition.

The piece is a sort of "Concerto" in four linked mouvements alternating strong, primitive elements and slow areas.
The piece has a sort of spherical form, and sometimes a centrifugal force.
But at the end or somewhere it may sounds as like as a a fluid body of water.
I feel it as like as a very primitive work, and very primitive was the way how I've composed it.
(ジョヴァンニ・ソッリマ)
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| 訳: |
これまでサンプリングされた三味線音源を使ったことしかなかった私は、西潟昭子さんから三味線のための作品を書くように頼まれた時、三味線の新しいサウンドやフィーリングに冒険的に取り組む可能性への興奮と、西洋の楽器とはかなり異なり日本の伝統と強く結びついているこの楽器との初めての出会いへの恐れを感じました。ただ同じ弦楽器であるチェロを弾いていること、シタールを何年か前に学んだこと、あるいはまた子供のような好奇心のために、三味線には親しみを同時に感じました。

昨年東京でお会いした折、西潟さんは三味線の生の演奏を聴かせてくれたあとで、竹内敏信さんの美しい富士山の写真集を見せて下さいました。そこには幻想的な神話、様々な光と影、魔法のような物語、花々や木々などが様々な角度から描かれていて、それを見ながら私は、三味線を取り巻く弦楽器群のイメージを感じ取りました。

今年の4月、より深くこの作品について考えはじめた私は、やがて私の住むシシリー島に近い、嵐の吹き荒れる小さな火山の孤島を思い描きました。そして私の中に嵐が吹き始めました。

「セオリー・オブ・ジ・アース(地球の理論)」は、地球上の陸地の創生について記した、スコットランドの地質学者ジェイムズ・ハットン(1726-1797)の著作に触発された題名です。しかし作曲においては、二つの火山・・・富士山とエトナ・・・と、そこで営なわれて来た儀式、宗教、人々、物語、神話などにに焦点を当てています。ただ、人間、動物、エネルギーと火山との抽象的な関連性によって、各楽0章は題名を持たずにそれらを表現しています。

この作品は、原始的な要素と遅い部分を持つ4つの楽章が、それぞれ互いに強く関連付けられている協奏曲です。時折遠心力を持つ球形の構造形態には、流動的な水の形態をも感じられるかもしれません。非常に原始的な作品であると感じていますが、「非常に原始的であること」によって、私のこの作品は生まれたのです。
(ジョヴァンニ・ソッリマ) |

【 ジョヴァンニ・ソッリマ 】
1962年シチリアのパレルモ生まれ。チェロをA.ヤニグロ、作曲をM.ケレメンらに師事。作品は、ロックやジャズに地中海周辺地域の民族音楽を組み合わせた独自のスタイルで、世界中のソリストやオーケストラ、ダンス・バレエ等の舞台公演に取り上げられている。Ph.グラスの推薦で注目された《アクイラルコ》ほか、イタリアのポップ歌手エリザ主演で話題となったオペラ《エリス島》、またクレーメルも録音した《チェロよ、歌え!》や、ヴェネツィア・ビエンナーレで一部上演された《ヨーゼフ・ボイス・ソング》などで知られる。チェリストとしても、指揮のC.アバド、G.シノーボリ、ピアノのJ.デームス、M.アルゲリッチらと共演。ジョヴァンニ・ソッリマ・バンドを率いて各地の劇場や音楽祭にも登場している。

2.「一本の緑陰樹として -As a Shade Tree-」

三絃という楽器に〜これは、西潟昭子さんという稀有な演奏家の存在ゆえだと思うのだが〜凛としたものを感じる。これまで、西潟さんのための「はじめのうた」(ソロ作品・1980)ほか三絃を含む室内アンサンブルの曲などをいくつか書いてきたが、オーケストラとの「協奏曲」は初めてである。その凛としたものがすっくと立っているさまが脳裡から離れなかった。「一本の木のように」立っているそれは、陰を伴っていた。陰を作る木=緑陰樹である。三絃が緑陰樹。その陰は、終始同じ音型を打ちつづける大太鼓だ。もうひとつ、ハープも、同じ撥絃楽器として、三絃に寄り添うがごとき第二の陰を作る。大太鼓の変わらぬ音型には、歌舞伎の下座のイメージがあった。ただひとつの大太鼓で雪や波、山おろしをも表現してしまうあれである。雪音を模している、というより、しんしんと降る雪のさまを感じさせてしまう。実に優れた自然描写だ。とはいえ、しかし全体を「邦楽」的に書くことは、意識して避けた。いくつかのモードを基に、凛として力強い時間が、広々と発信されるように願った。僕のプランの上では、ほぼスケジュールどおり作曲が進行したが、西潟さんと指揮、オーケストラの方々には気をもませてしまったらしい。東京と札幌の仕事場、大阪、神戸、南京、北京などを転々としつつ書いた。スコアの脱稿は9月1日。全音より刊行予定。
(池辺晋一郎)  【池辺晋一郎】
1943年生まれ。67年東京芸術大学卒業。71年同大学院修了。66年日本音楽コンクール第1位。同年音楽之友社室内楽作曲コンクール第1位。68年音楽之友社賞。以後ザルツブルクTVオペラ祭優秀賞、イタリア放送協会賞3度、国際エミー賞、芸術祭優秀賞4度、尾高賞2度、毎日映画コンクール音楽賞3度。日本アカデミー賞優秀音楽賞8度など。02年放送文化賞、04年紫綬褒章。現在、(社)日本作曲家協議会会長、東京音楽大学教授、東京オペラシティ、石川県立音楽堂、水戸芸術館、紀尾井ホールほかの監督、委員など。作品:交響曲・1〜7、オペラ「死神」ほか多数。映画「影武者」「楢山節考」「うなぎ」TV「八代将軍吉宗」「元禄繚乱」など。演劇音楽約450本、随筆集、対談集など。TV「N響アワー」にレギュラー出演。
 
3.「華の宴」

数年前、西潟さんから呼び出され、邦楽器とオーケストラのコンサートを考えてるんだけど、作曲してもらうとしたら何かいいアイディアはないかしら、と相談を受けた。内心、ソロ楽器との協奏曲はいやだなと思いつつ、飲み交わす酒の勢いで、「お祭りみたいなことだったらいいね。フェスティバル・コンチェルト・グロッソだ、邦楽器アンサンブルとオーケストラの合奏協奏曲で派手にドンチャン騒ぎをやろう」などと言ったのを覚えている。彼女もずっとそのことを覚えていて、去年「やるのよ」と言われ、本気だったんだと思っても後の祭り。そう、お祭りなのだ、この曲は、と気を取り直し、作曲を始めたのが今年5月。7月一杯で完成させた。この曲は古典的な3楽章。1楽章の冒頭はお祭りにふさわしく、往年のテレビ東京の時代劇「大江戸捜査網」のテーマで始まる。私が日活の撮影所に入り浸っていた27才の時の曲。青春物しかやったことのない日活が初めて時代劇に挑戦し、「捜査網」の字には「アンタッチャブル」のルビがあるほどアメリカのアクションTV映画を意識しており、いちばん時代劇には向いていない作曲家として私が選ばれた。二楽章は尺八メインの和風田園風景と村祭りが変拍子になったような感じ。三楽章は三絃と筝、十七絃がメインで、私が去年、三絃と十七絃のために作曲した「ピンダロスの涙」の後半部分が骨格となっている。とにかく理屈抜きでみんながお祭り気分になることだけを意識した。大いに楽しんで頂きたい。
(玉木宏樹)

【 玉木宏樹 】
作曲家・ヴァイオリニスト
1943年、神戸生まれ。1965年東京芸術大学ヴァイオリン科卒業後、山本直純氏に作曲と指揮を師事。MIDI出現以前に7台のシンセとフルオーケストラのための交響曲『雲井時鳥国』をライブ録音。「大江戸捜査網」(テレビ東京)、「おていちゃん」(NHK朝のTV小説)、「怪奇大作戦」(円谷プロ)他TV作品多数、CM約1500曲。
NHK合唱コンクール課題曲他、作品多数。純正律ミネラル・サウンドCD三部作『光』『響』『時』(キングレコード)「春へのあこがれ〜ミーントーンハープとヴァイオリンによる純正律でモーツァルトを〜」(アルキ)他、CD多数。近著に『純正律は世界を救う』(文化創作出版)。現在特定非営利活動法人純正律音楽研究会代表。洗足学園音楽大学講師 。 |
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